交通事故によるうつ病の症状とは?うつ病による後遺障害認定も解説
作成日
2023/09/22
更新日
2023/09/22
- ※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。
目次
交通事故の被害にあい、うつになってしまった……。
ご本人・ご家族にそんな方はいらっしゃいますか?
交通事故で命の危険を感じたストレスや、事故後、症状が良くならないストレスなどでうつ病を発症される方は決して少なくありません。
事故前と同じ生活をできないもどかしさは本当につらいことと思います。
交通事故によりうつ病を発症した場合にも、一定の場合には後遺障害等級認定を受けることが出来ます。
後遺障害等級認定を受けると、治療費や入院雑費などの実費・休業損害・傷害慰謝料などに加えて、相手方に後遺障害慰謝料や逸失利益を請求することができるようになります。
今回は、
ご本人・ご家族にそんな方はいらっしゃいますか?
交通事故で命の危険を感じたストレスや、事故後、症状が良くならないストレスなどでうつ病を発症される方は決して少なくありません。
事故前と同じ生活をできないもどかしさは本当につらいことと思います。
交通事故によりうつ病を発症した場合にも、一定の場合には後遺障害等級認定を受けることが出来ます。
後遺障害等級認定を受けると、治療費や入院雑費などの実費・休業損害・傷害慰謝料などに加えて、相手方に後遺障害慰謝料や逸失利益を請求することができるようになります。
今回は、
- うつ病の症状
- うつ病が後遺障害等級認定を受ける場合の条件
- うつ病が後遺障害等級認定を受ける際の問題点
- うつ病が後遺障害等級認定を受けた実際の裁判例
- 弁護士に依頼するメリット
についてご説明します。
「うつ病」とは?
うつ病とは、一日中気分が沈んだり、何をしても楽しめないという精神症状と共に、眠れない、食欲がない、疲れやすいなどの身体症状が出る状態です。
うつ病とは、気分障害の一つです。
気分障害とは、気分が正常な範囲を超えて高ぶったり、落ち込んだりして、自分の気分をコントロールできなくなることが一定期間以上続く状態です。
うつ病とは、気分障害の一つです。
気分障害とは、気分が正常な範囲を超えて高ぶったり、落ち込んだりして、自分の気分をコントロールできなくなることが一定期間以上続く状態です。
日本では、生涯の内、100人中約6人がうつ病を経験しているという調査結果もあり、今や決して珍しい病気ではありません。
健康問題を理由・原因とする自殺の原因の中での、うつ病は毎年一番高い割合となっています。
健康問題を理由・原因とする自殺の原因の中での、うつ病は毎年一番高い割合となっています。
うつ病は、精神的ストレスや肉体的ストレスなどにより、脳がうまく働かなくなっている状態です。
日常生活に支障が出るレベルに至っている場合には、自己判断せずに、診療内科などの専門医を受診する必要があります。
まずは、ご自身の症状がどの程度か確認するために、以下のサイトのチェックシートを利用するなどしてみてください。
日常生活に支障が出るレベルに至っている場合には、自己判断せずに、診療内科などの専門医を受診する必要があります。
まずは、ご自身の症状がどの程度か確認するために、以下のサイトのチェックシートを利用するなどしてみてください。
うつ病は、脳の病気ですから、放置しておくと病気が治りにくくなるおそれもありますので、早期に治療することが大切です。
もしもうつ病と診断され、症状が重い場合には休職も検討すべきです、
休職制度は、それぞれの会社が独自に設けている制度ですので、会社によっては休職制度がない場合もあります。
うつ病と診断された場合には、上司に報告した上で休職が可能か確認・相談しましょう。
まずは、専門家による治療を受けながら、心と体をゆっくりと休めてください。
もしもうつ病と診断され、症状が重い場合には休職も検討すべきです、
休職制度は、それぞれの会社が独自に設けている制度ですので、会社によっては休職制度がない場合もあります。
うつ病と診断された場合には、上司に報告した上で休職が可能か確認・相談しましょう。
まずは、専門家による治療を受けながら、心と体をゆっくりと休めてください。
交通事故を原因とするうつ病と後遺障害等級認定について
交通事故による肉体的・精神的ダメージが心の傷となり、うつ病を発症することは決して珍しくありません。
交通事故によりうつ病を発症した場合、後遺障害等級には認定されるのでしょうか。
結論から言えば、うつ病についても後遺障害等級に認定されることはあります。
脳の組織に器質的異常(傷や損傷)は確認できないけれど、異常な精神状態が生じている場合に、その状態を、
非器質性精神障害
と言います。
交通事故によりうつ病を発症した場合、この「非器質性精神障害」に該当する可能性があります。
非器質性精神障害には、他に強迫神経症、パニック障害、PTSDなどがあります。
非器質的精神障害は、その程度に応じて、後遺障害等級が認定される場合があります。
交通事故によりうつ病を発症した場合、後遺障害等級には認定されるのでしょうか。
結論から言えば、うつ病についても後遺障害等級に認定されることはあります。
脳の組織に器質的異常(傷や損傷)は確認できないけれど、異常な精神状態が生じている場合に、その状態を、
非器質性精神障害
と言います。
交通事故によりうつ病を発症した場合、この「非器質性精神障害」に該当する可能性があります。
非器質性精神障害には、他に強迫神経症、パニック障害、PTSDなどがあります。
非器質的精神障害は、その程度に応じて、後遺障害等級が認定される場合があります。
非器質性精神障害が認められる後遺障害等級について
うつ病を含む非器質性精神障害が認定される後遺障害等級は以下のとおりです。
等級 | 後遺障害 |
---|---|
9級10号 | 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの |
12級12号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
かつては、非器質性精神障害については、後遺障害等級14級が認定されるにとどまっていましたが、後でご紹介するとおり、現在では14級よりも高い9級、12級の後遺障害等級が認定されることもあります。
それぞれの後遺障害等級に認定される要件についてご説明します。
それぞれの後遺障害等級に認定される要件についてご説明します。
(1)9級10号が認定されるための要件
まず、非器質性精神障害が後遺障害等級認定されるためには、以下の表(ア)のうち1つ以上の精神症状があり、(イ)のうち1つ以上の能力につき障害が認められることが必要です。
(ア)精神症状 | (イ)能力に関する判断項目 |
---|---|
(1)抗うつ状態 (2)不安の状態 (3)意欲低下の状態 (4)慢性化した幻覚・妄想性の状態 (5)記憶または知的能力の障害 (6)その他の障害(衝動性の障害、不定愁訴など) |
(1)身辺日常生活 (2)仕事・生活に積極性・関心を持つこと (3)通勤・勤務時間の厳守 (4)普通に作業を持続すること (5)他人との意思伝達 (6)対人関係・協調性 (7)身辺の安全保持、危機の回避 (8)困難・失敗への対応 |
それぞれの具体的な内容について詳しくは以下のサイトをご覧ください。
後遺障害等級9級10号が認定される要件は、次のとおりです。
(2)12級12号が認定されるための要件
次に、後遺障害等級12級12号が認定される要件は、次のとおりです。
(3)14級9号が認定されるための要件
最後に、後遺障害等級14級9号が認定される要件は、次のとおりです。
14級9号は、勤労の有無や勤労意欲などによって場合分けはされません。
(なお、未就労の学生、家事従事者、高齢者などについても非器質性精神障害の後遺障害等級認定がなされますので、あくまでも「就労」できる状態であった場合に、という意味でご理解ください。)
(なお、未就労の学生、家事従事者、高齢者などについても非器質性精神障害の後遺障害等級認定がなされますので、あくまでも「就労」できる状態であった場合に、という意味でご理解ください。)
非器質性精神障害について後遺障害等級が認定されるための問題点について
非器質性精神障害についても、今ご説明した基準で後遺障害等級認定がされますが、実際に認定を受けるハードルは決して低くありません。
さらに、後遺障害等級認定は受けたものの、その後の裁判では後遺障害と認められなかったケースもあります。
次は、非器質性精神障害が後遺障害等級の認定を受けるにあたっての問題点をご説明します。
さらに、後遺障害等級認定は受けたものの、その後の裁判では後遺障害と認められなかったケースもあります。
次は、非器質性精神障害が後遺障害等級の認定を受けるにあたっての問題点をご説明します。
非器質性精神障害が後遺障害等級認定を受けるための問題点
非器質性精神障害が後遺障害等級認定を受けるにあたっては、以下の点が重要なポイントになります。
一つずつご説明します。
(1)交通事故との因果関係
非器質性精神障害については、その症状が果たして交通事故が原因で発症したのかという因果関係の問題があります。
目に見えるけがは、交通事故によってできたものかどうかは一目瞭然です。
ですが、非器質性精神障害は、「心」の問題ですので、客観的に見て明らかになるわけではありません。
家庭や職場環境の影響によっても発症しますので、必ずしも交通事故が原因だとは限りません。
実際の裁判でも、もともとうつ病だったのではないか、などと争われる場合も多いです。
うつ病を含む非器質性精神障害が後遺障害等級に認定されるためには、
目に見えるけがは、交通事故によってできたものかどうかは一目瞭然です。
ですが、非器質性精神障害は、「心」の問題ですので、客観的に見て明らかになるわけではありません。
家庭や職場環境の影響によっても発症しますので、必ずしも交通事故が原因だとは限りません。
実際の裁判でも、もともとうつ病だったのではないか、などと争われる場合も多いです。
うつ病を含む非器質性精神障害が後遺障害等級に認定されるためには、
- 事故状況
- 症状の具体的内容
- 発症時期
- ほかの要因の有無
- 被害者の性格
などから総合的に判断されることに注意が必要です。
(2)医師による治療
今ご説明したとおり、うつ病は、客観的にはわかりません。
事故にあったご本人がどんなに辛い思いをしていたとしても、CT検査やMRI検査で画像に写すことはできないのです。
交通事故後、うつ病の症状があると思った時は、すぐに専門医を受診してください(受診が遅れた場合は、上でご説明した因果関係が否定されることにもなりかねません)。
うつ病について後遺障害等級認定を受けるには、専門医を受診した上で、適切な治療を受けることがとても大事です。
というのは、後遺障害等級認定のためには、
事故にあったご本人がどんなに辛い思いをしていたとしても、CT検査やMRI検査で画像に写すことはできないのです。
交通事故後、うつ病の症状があると思った時は、すぐに専門医を受診してください(受診が遅れた場合は、上でご説明した因果関係が否定されることにもなりかねません)。
うつ病について後遺障害等級認定を受けるには、専門医を受診した上で、適切な治療を受けることがとても大事です。
というのは、後遺障害等級認定のためには、
- 専門医による診断の有無
- 治療内容
- 治療による症状の経過
を総合的に見て、専門医による適切な治療を受けても症状が改善しないと言える状況が必要なのです。
仮に、後遺障害等級認定の際、うつ病の症状があったとしても、専門医の適切な治療を受けていない場合には、「すぐに専門医による適切な治療を受けていれば症状は改善していたはず」と評価されて、認定をうけられないおそれがあることに注意が必要です。
仮に、後遺障害等級認定の際、うつ病の症状があったとしても、専門医の適切な治療を受けていない場合には、「すぐに専門医による適切な治療を受けていれば症状は改善していたはず」と評価されて、認定をうけられないおそれがあることに注意が必要です。
(3)症状固定の判断時期
「症状固定」とは、医学上、一般に認められた治療をしても、それ以上効果が期待できない状態です。
通常のけがであれば、比較的、医学的な観点から症状はこれ以上良くならないという時点が分かりやすいです。
ところが、うつ病などの非器質性精神障害は、一時期、症状が重い状態が続いていても、その後、適切な治療を継続して受ければ将来において回復する可能性があるという特徴があります。
ですから、いつの時点をもって症状固定とみるかは難しいという問題があることに注意が必要です(実際の裁判の事例でも、けがに関する後遺障害等級と非器質性精神障害の後遺障害等級の症状固定時期がずれることが多いです)。
以上、まとめますと、うつ病について後遺障害等級認定を受けるには、
通常のけがであれば、比較的、医学的な観点から症状はこれ以上良くならないという時点が分かりやすいです。
ところが、うつ病などの非器質性精神障害は、一時期、症状が重い状態が続いていても、その後、適切な治療を継続して受ければ将来において回復する可能性があるという特徴があります。
ですから、いつの時点をもって症状固定とみるかは難しいという問題があることに注意が必要です(実際の裁判の事例でも、けがに関する後遺障害等級と非器質性精神障害の後遺障害等級の症状固定時期がずれることが多いです)。
以上、まとめますと、うつ病について後遺障害等級認定を受けるには、
- 専門家による診療をうけること
- 適切な治療・投薬がなされていること
- 十分な治療機関にも関わらず症状が残っていること
- 回復の見込みに関する判断が適切に行われていること
に注意する必要があります。
うつ病に関して後遺障害等級が認定された実際の裁判例について
それでは、うつ病に関する後遺障害等級が認定された実際の裁判例をいくつかご紹介します。
(1) | 後遺障害等級 | 9級10号 | ||
---|---|---|---|---|
後遺障害の内容 | 非器質性精神障害(うつ状態) | |||
年齢 | 症状固定時26歳 | |||
後遺障害慰謝料 | 690万円 | |||
労働能力喪失率 | 35% | |||
喪失期間 | 10年 | |||
判決年月日 | 福岡地裁H31.2.1 |
(2) | 後遺障害等級 | 12級13号 | ||
---|---|---|---|---|
後遺障害の内容 | 非器質性精神障害(うつ病) | |||
後遺障害慰謝料 | 290万円 | |||
労働能力喪失率 | 14% | |||
喪失期間 | 10年 | |||
判決年月日 | 東京地裁H27.2.26 |
(3) | 後遺障害等級 | 14級相当 | ||
---|---|---|---|---|
後遺障害の内容 | 非器質性精神障害(不安緊張・抑うつ症状) | |||
年齢 | 症状固定時59歳 | |||
後遺障害慰謝料 | 110万円 | |||
労働能力喪失率 | 5% | |||
喪失期間 | 10年 | |||
判決年月日 | 大阪地裁H2.11.25 |
(4) | 後遺障害等級 | 14級相当 | ||
---|---|---|---|---|
後遺障害の内容 | 非器質性精神障害(外傷に関連した藩の精神障害(うつやPTSDなど)に見られる特徴 | |||
年齢 | 症状固定時40歳 | |||
後遺障害慰謝料 | 110万円 | |||
労働能力喪失率 | 5% | |||
喪失期間 | 10年 | |||
判決年月日 | 東京地裁H30.4.25 |
(5) | 後遺障害等級 | 14級相当 | ||
---|---|---|---|---|
後遺障害の内容 | 非器質性精神障害(うつ病) | |||
年齢 | 事故時40歳 | |||
後遺障害慰謝料 | 110万円 | |||
労働能力喪失率 | 5% | |||
喪失期間 | 10年 | |||
判決年月日 | 東京地裁H30.3.15 |
うつ病などの非器質性精神障害が後遺障害等級に認定される場合には14級が多いですが、9級や12級に認定されるケースもあります。
なお、非器質性精神障害は、適切な治療を継続すれば、症状が大幅に改善される可能性がありますので、労働能力喪失期間についても、就労可能年数までとするのではなく、10年程度以内になることが多いことに注意が必要です。
これまでご説明したとおり、うつ病が後遺障害等級に認定されるためには、実際の症状や治療内容、治療経過などをみて総合的に判断する必要がありますので、交通事故によるうつ病に悩んでいらっしゃる方は、まずは弁護士に相談することをお勧めします。
なお、非器質性精神障害は、適切な治療を継続すれば、症状が大幅に改善される可能性がありますので、労働能力喪失期間についても、就労可能年数までとするのではなく、10年程度以内になることが多いことに注意が必要です。
これまでご説明したとおり、うつ病が後遺障害等級に認定されるためには、実際の症状や治療内容、治療経過などをみて総合的に判断する必要がありますので、交通事故によるうつ病に悩んでいらっしゃる方は、まずは弁護士に相談することをお勧めします。
後遺障害慰謝料について
後遺障害等級が認定されると、相手方に対して後遺障害慰謝料を請求できます。
ただし、後遺障害慰謝料の金額は、絶対的な基準が1つあるわけではありません。
ただし、後遺障害慰謝料の金額は、絶対的な基準が1つあるわけではありません。
うつ病が後遺障害等級に認定される可能性のある9級・12級・14級について、自賠責保険会社と弁護士の基準は以下のとおりです。
(※2020年4月1日以降に発生した事故の場合)
自賠責保険は、必要最低限度の被害者の救済を目的としているので、3つの基準の中では一番低額です(※ただし、自賠責保険金額は、交通事故の70%未満の過失については減額対象にしませんので、ご自身の過失割合が大きい場合(加害者側になってしまった場合など)には、自賠責の基準がもっとも高額となることもあります)。
任意保険会社の基準は、各会社によって異なりますし、基準は公表されていませんので正確な金額は出せませんが、一般的には自賠責の基準に近い金額になります。
任意保険会社は、自賠責保険ではカバーしきれない分を補填することが目的ですから、必ずしも高額な慰謝料を支払うことに積極的ではありません。
今、まさに相手方の任意保険会社と示談交渉中という方で、保険会社から提案された金額に納得できない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この点、後でご説明しますが、弁護士に依頼した場合、基本的には弁護士の基準に基づいた交渉を行いますので、当初提案された金額から、最終的に大きく変更される可能性があります。
自賠責保険は、必要最低限度の被害者の救済を目的としているので、3つの基準の中では一番低額です(※ただし、自賠責保険金額は、交通事故の70%未満の過失については減額対象にしませんので、ご自身の過失割合が大きい場合(加害者側になってしまった場合など)には、自賠責の基準がもっとも高額となることもあります)。
任意保険会社の基準は、各会社によって異なりますし、基準は公表されていませんので正確な金額は出せませんが、一般的には自賠責の基準に近い金額になります。
任意保険会社は、自賠責保険ではカバーしきれない分を補填することが目的ですから、必ずしも高額な慰謝料を支払うことに積極的ではありません。
今、まさに相手方の任意保険会社と示談交渉中という方で、保険会社から提案された金額に納得できない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この点、後でご説明しますが、弁護士に依頼した場合、基本的には弁護士の基準に基づいた交渉を行いますので、当初提案された金額から、最終的に大きく変更される可能性があります。
逸失利益について
後遺障害等級が認定されると、相手方に逸失利益を請求することができます。
逸失利益とは、交通事故にあい後遺障害が残ってしまったことによる、将来の収入の減収分の損害です。
交通事故によりうつ病になって労働意欲が低下し、結局仕事を辞めてしまったり、転職したりすることは決して珍しくありません。
このような、後遺障害の影響で、本来得られたはずの将来分の収入が失われてしまう分について、相手方に請求することが出来るのです。
逸失利益の計算方法は以下のとおりです。
逸失利益とは、交通事故にあい後遺障害が残ってしまったことによる、将来の収入の減収分の損害です。
交通事故によりうつ病になって労働意欲が低下し、結局仕事を辞めてしまったり、転職したりすることは決して珍しくありません。
このような、後遺障害の影響で、本来得られたはずの将来分の収入が失われてしまう分について、相手方に請求することが出来るのです。
逸失利益の計算方法は以下のとおりです。
「基礎収入」は、原則として事故発生前の収入の金額が採用されます。
「労働能力喪失率」とは、後遺障害により労働能力がどれだけ失われたのか、その割合をいいます。
「労働能力喪失率」は、厚生労働省が各等級の目安を定めており、9級、12級、14級の場合は次のとおりです。
【労働能力喪失率】
「労働能力喪失率」とは、後遺障害により労働能力がどれだけ失われたのか、その割合をいいます。
「労働能力喪失率」は、厚生労働省が各等級の目安を定めており、9級、12級、14級の場合は次のとおりです。
【労働能力喪失率】
9級 | 12級 | 14級 |
---|---|---|
35% | 14% | 5% |
「ライプニッツ係数」とは、被害者が将来得られたはずの利益を前もって受け取ったことで得られた利益(利息など)を控除するための数値です。
ライプニッツ係数は、2020年4月1日以降に発生した事故とそれ以前に発生した事故では控除率が異なっていますので、注意が必要です。
ライプニッツ係数は、2020年4月1日以降に発生した事故とそれ以前に発生した事故では控除率が異なっていますので、注意が必要です。
2020年4月1日以降のライプニッツ係数は、以下のサイトをご覧ください。
後遺障害による逸失利益は、事故後、就労が可能(と考えられる)年齢までの減収分の損害について、基本的には一括で支払われるものですので、高額になりがちです。
具体例を挙げてご説明します。
前年度の年収 400万円
交通事故の日 2020年4月1日
症状固定時 2021年4月1日
症状固定時の年齢 40歳
後遺障害等級 14級(喪失率5%)
通常、労働可能な年齢は67歳とされていますから、労働能力喪失期間は上の例では27年です(※ただし、先ほどの裁判例のとおり、うつ病などの非器質性精神障害の後遺障害等級については、能力喪失期間は10年程度以内とされることが多いです)。
上でご紹介したサイトのライプニッツ係数表によれば、就労可能年数27年のライプニッツ係数は18.327です。
ですから、この場合の後遺障害逸失利益の計算式は以下のとおりです。
具体例を挙げてご説明します。
前年度の年収 400万円
交通事故の日 2020年4月1日
症状固定時 2021年4月1日
症状固定時の年齢 40歳
後遺障害等級 14級(喪失率5%)
通常、労働可能な年齢は67歳とされていますから、労働能力喪失期間は上の例では27年です(※ただし、先ほどの裁判例のとおり、うつ病などの非器質性精神障害の後遺障害等級については、能力喪失期間は10年程度以内とされることが多いです)。
上でご紹介したサイトのライプニッツ係数表によれば、就労可能年数27年のライプニッツ係数は18.327です。
ですから、この場合の後遺障害逸失利益の計算式は以下のとおりです。
ですから、この事案では、基準どおりの労働能力喪失であれば、逸失利益は366万5400円です(なお、労働能力喪失期間が10年だとすれば、ライプニッツ係数は8.530ですので、400万円×0.05×8.530=170万6000円となります)。
逸失利益は、示談交渉において、相手方の任意保険会社と交渉が難航しがちな項目です。
上の例でもお分かりかと思いますが、逸失利益は被害者の年齢や収入によっては極めて高額になります。
ですから、示談交渉にあたって、保険会社は、労働能力の喪失率を基準よりも低く見積もったり、喪失期間をかなり短くした金額を提示することが多いのです。
この点は、保険会社の提示する金額を鵜呑みにしないことが大切です。
交通事故の被害にあわれた方は、まずは、厚生労働省の基準に従えば、どの程度の逸失利益が認められるのか実際に計算してみることをお勧めします。
逸失利益は、示談交渉において、相手方の任意保険会社と交渉が難航しがちな項目です。
上の例でもお分かりかと思いますが、逸失利益は被害者の年齢や収入によっては極めて高額になります。
ですから、示談交渉にあたって、保険会社は、労働能力の喪失率を基準よりも低く見積もったり、喪失期間をかなり短くした金額を提示することが多いのです。
この点は、保険会社の提示する金額を鵜呑みにしないことが大切です。
交通事故の被害にあわれた方は、まずは、厚生労働省の基準に従えば、どの程度の逸失利益が認められるのか実際に計算してみることをお勧めします。
弁護士に依頼するメリットについて
それでは、交通事故の被害にあった時に、相手方との示談交渉などを弁護士に依頼するメリットについてご説明します。
(1)弁護士によるサポートが期待できる
まだ治療中で症状固定に至っていない方については、後遺障害等級認定の申請にあたって、治療中から弁護士によるサポートを受けることには大きな意味があります。
後遺障害等級認定の申請手続には、『後遺障害診断書』の提出が必要ですが、後遺障害等級認定のための調査は、この診断書の記載をもとに行われます。
ですから、医師に『後遺障害診断書』に正確な記載をしてもらうためにも、治療中から治療終了までの間、定期的な通院をして適切な治療を受けることに加えて、医師に自覚症状をきちんと伝えることが重要です。
『後遺障害診断書』は、後遺障害認定の審査のために提出した後に修正することはできませんが、提出前であれば、書いてもらった後遺障害診断書を書き直してもらうこともできます。
弁護士に依頼した場合には、後遺障害診断書の訂正の必要性の判断や医師への依頼について任せることができます。
先ほどご説明したとおり、うつ病などの非器質性精神障害の後遺障害等級の認定にあたっては、治療経過や治療内容が非常に重要になります。
まだ治療中のため弁護士に依頼していないという方は、治療中から弁護士によるサポートを受けることをお勧めします。
後遺障害等級認定の申請手続には、『後遺障害診断書』の提出が必要ですが、後遺障害等級認定のための調査は、この診断書の記載をもとに行われます。
ですから、医師に『後遺障害診断書』に正確な記載をしてもらうためにも、治療中から治療終了までの間、定期的な通院をして適切な治療を受けることに加えて、医師に自覚症状をきちんと伝えることが重要です。
『後遺障害診断書』は、後遺障害認定の審査のために提出した後に修正することはできませんが、提出前であれば、書いてもらった後遺障害診断書を書き直してもらうこともできます。
弁護士に依頼した場合には、後遺障害診断書の訂正の必要性の判断や医師への依頼について任せることができます。
先ほどご説明したとおり、うつ病などの非器質性精神障害の後遺障害等級の認定にあたっては、治療経過や治療内容が非常に重要になります。
まだ治療中のため弁護士に依頼していないという方は、治療中から弁護士によるサポートを受けることをお勧めします。
(2)最終的に受領する金員が増額する可能性があること
先ほどご説明したとおり、後遺障害慰謝料についての自賠責保険の基準と任意保険会社の基準と弁護士の基準はそれぞれ異なっています。
弁護士に依頼した場合には、弁護士は、もらえる賠償額が一番多くなるように、被害者側の過失が大きいなど特別な事情がない限り、通常は弁護士の基準をベースに交渉します。
その結果、弁護士の基準に近い金額で示談できることもよくあります。
他方、弁護士に依頼せずご自身で交渉しても、なかなか弁護士の基準では示談できないことが多いです。
そのため、弁護士に依頼することで、もらえる賠償額が増額する可能性があります。
弁護士に依頼した場合には、弁護士は、もらえる賠償額が一番多くなるように、被害者側の過失が大きいなど特別な事情がない限り、通常は弁護士の基準をベースに交渉します。
その結果、弁護士の基準に近い金額で示談できることもよくあります。
他方、弁護士に依頼せずご自身で交渉しても、なかなか弁護士の基準では示談できないことが多いです。
そのため、弁護士に依頼することで、もらえる賠償額が増額する可能性があります。
(3)煩わしいやり取りから解放されること
うつ病を患いながら、ご自身で保険会社との交渉をすべてされるのはなかなか大変です。
時には担当者の態度に不快な思いをすることもあるでしょう。
弁護士に依頼した場合には、方針について決定すれば、実際の保険会社とのやり取りは弁護士が担当しますので、保険会社との煩わしいやり取りから解放されます。
時には担当者の態度に不快な思いをすることもあるでしょう。
弁護士に依頼した場合には、方針について決定すれば、実際の保険会社とのやり取りは弁護士が担当しますので、保険会社との煩わしいやり取りから解放されます。
弁護士に依頼するデメリットについて
弁護士に依頼するとデメリットとしては、弁護士に支払う費用がかかるという点があります。
ですが、弁護士費用が心配という方は、まず、契約している保険の特約を確認してみてください。
保険によっては、加害者の保険会社との話合いなどを弁護士に依頼した場合にはその費用を負担するという『弁護士費用特約』が付いていることがあります。
ここでポイントとなるのが、「弁護士費用特約」は自身名義で弁護士費用特約に加入していない場合でも、弁護士費用特約を利用できることがある、という点です。
ですが、弁護士費用が心配という方は、まず、契約している保険の特約を確認してみてください。
保険によっては、加害者の保険会社との話合いなどを弁護士に依頼した場合にはその費用を負担するという『弁護士費用特約』が付いていることがあります。
ここでポイントとなるのが、「弁護士費用特約」は自身名義で弁護士費用特約に加入していない場合でも、弁護士費用特約を利用できることがある、という点です。
- 配偶者
- 同居の親族
- ご自身が未婚の場合、別居の両親
- 被害事故に遭った車両の所有者
のいずれかが任意保険に弁護士費用特約をつけていれば、被害者ご自身も弁護士費用特約の利用が可能であることが通常です。
弁護士費用特約を使っても、保険料や等級は上がりません。
ただし、自己に重大な過失がある場合など弁護士費用特約が使えない場合があります。
弁護士費用特約を使うためには様々な条件があり、加入している保険によってその内容も異なります。弁護士費用特約が今回の事件に使えるか、事前に、加入している保険会社に必ず問い合わせしておきましょう。
弁護士費用特約にも限度額はありますが、原則として弁護士費用は保険会社が負担しますので、ぜひ、特約を利用して弁護士に依頼することをお勧めします。
弁護士費用特約を使っても、保険料や等級は上がりません。
ただし、自己に重大な過失がある場合など弁護士費用特約が使えない場合があります。
弁護士費用特約を使うためには様々な条件があり、加入している保険によってその内容も異なります。弁護士費用特約が今回の事件に使えるか、事前に、加入している保険会社に必ず問い合わせしておきましょう。
弁護士費用特約にも限度額はありますが、原則として弁護士費用は保険会社が負担しますので、ぜひ、特約を利用して弁護士に依頼することをお勧めします。
【まとめ】交通事故によりうつ病になった場合には、一定の要件を満たせば後遺障害等級に認定される可能性がある
今回の記事のまとめは次のとおりです。
- うつ病とは、気分が正常な範囲を超えて高ぶったり落ち込んだりして、自分の気分をコントロールできなくなる気分障害の一つである。
- うつ病は「非器質性精神障害」として、症状の程度に応じて後遺障害等級9級、12級、14級に認定される可能性がある。
非器質性精神障害が後遺障害等級認定を受けるためには、
- 専門家による診療をうけること
- 適切な治療・投薬がなされていること
- 十分な治療機関にも関わらず症状が残っていること
- 回復の見込みに関する判断が適切に行われていること
が必要である。
- 実際の裁判でもうつ病に関して後遺障害等級が認定されているが、労働能力喪失期間は通常よりも短く、10年以内になることが多い。
- うつ病による後遺障害等級が認定されると、後遺障害慰謝料と逸失利益を請求できるようになる。
弁護士に依頼した場合には
- 弁護士によるサポートが期待できる
- .最終的に受領できる金員が増額する可能性がある
- .保険会社とのやり取りから解放される
というメリットがある。
- ご加入中の自動車保険や損害保険に「弁護士費用特約」が付いている場合、原則的に弁護士費用は保険会社が負担することになる(一定の限度額、利用条件あり)
交通事故の被害にあわれ、うつ病と診断された方は、アディーレ法律事務所にご相談ください。
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この記事の監修弁護士
岡山大学、及び岡山大学法科大学院卒。 アディーレ法律事務所では刑事事件、労働事件など様々な分野を担当した後、2020年より交通事故に従事。2023年からは交通部門の統括者として、被害に遭われた方々の立場に寄り添ったより良い解決方法を実現できるよう、日々職務に邁進している。東京弁護士会所属。
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